12月11日、政府の中央防災会議は
「南海トラフ巨大地震につながる異常現象観測地の対応を巡る報告書」をまとめました。
具体的な内容は、
南海トラフ震源域で前兆と疑われる異常現象が起きた場合の対応について
です。
この記事では、今回出された内容について簡単にご説明したいと思います。
Contents
南海トラフ巨大地震とは
- 今後30年以内に発生する可能性は70~80%以上といわれている巨大地震
- 最悪の場合死者は32万人になるといわれている
- 南海トラフ地震は100~150年で繰り返し起きている
- 現在、前回の南海トラフ地震1944年、1946年から70年以上経過している
南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ
南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。気象庁HPより引用:https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/index.html
南海トラフ巨大地震の前兆3ケース
南海トラフ巨大地震の前兆と疑われる異常現象として想定されているのが、以下の3ケースです。
「半割れ」ケース
現象:震源域の半分の東側か西側でマグニチュード8級の揺れを観測した場合
対応:どちらかの地域で発生した場合、もう片方の沿岸住民に一斉避難の呼びかけを行う
この「半割れ」が起きたときの政府の対応が、今回の報告書での内容の柱となります。
たとえば、南海トラフ巨大地震の想定震源域の西側でマグニチュード8クラスの揺れを観測した場合、被害が及んでいない東側の沿岸住民にも政府が一斉避難を呼びかけられます。
なぜ、反対側の地域に一斉避難を呼びかけるのでしょうか?
反対側の地域に一斉避難を呼びかける理由は?
南海トラフ巨大地震では、地震による津波の影響が懸念されています。
過去に起きた「半割れ」ケースの地震で、残り半分の地域でも最短32時間後に同規模の地震が記録されたことがあるそうです。
マグニチュード8クラスの地震により、残りの地域でも地震発生の可能性があるため、津波の到達が早いことが予想される沿岸部に、一斉避難を呼びかけるのです。
また、一週間程度で避難解除された後、さらに一週間は日常の生活で警戒を続けるように求められています。
これは地震発生後3日間は、同規模の地震が起こる可能性が非常に高く、地震発生後一週間でもまだ可能性が高いとされているためです。
「一部割れ」ケース
現象:震源域の一部で前兆と疑われるマグニチュード7級の揺れを観測した場合
対応:震源近くでも被害が限定的で、住民に避難の呼びかけはしない
「ゆっくりすべり」ケース
現象:住民が揺れを感じないプレート境界面で地殻変動を観測した場合
対応:被害はなく、日ごろの備えの再確認を促す
一番危険なのは「半割れ」ケース?
マグニチュード8クラスの地震を想定している「半割れ」ケースは最も危険だと考えられています。
政府が一斉避難を呼びかけるのは、この「半割れ」に限定されていており、地震発生から30分以内に30センチ以上の津波が押し寄せる沿岸の自治体を対象としています。
自分の住む場所が地震が発生した地域でなくても、沿岸部に住んでいる場合は、東か西のどちらかで「半割れ」が発生した場合、一斉避難の必要があることを頭に入れておきましょう。
まとめ
報告書の発表を受けて、世間ではどのような反応が起きているのでしょうか。
「実際に発生していない地域に避難を呼びかけても難しいのではないか」などの声も上がっているようです。
政府は一斉避難の呼びかけが「空振り」になることも前提として、「事前避難の必要性」を訴えています。
私も、この意見には賛成です。事前避難をして多くの命が助かる可能性があるのなら、避難した方がいいに決まってます。
しかし自治体ごとに、具体的な対策を検討する必要があると思います。
- 一斉避難の指示が出た場合に、市民をどのように避難させるか
- 一週間の避難中の必要物資はどうするのか
- 沿岸部地域に住む高齢者への対応
などの対策は不可欠です。
また、政府や自治体任せにしておくのではなく、自分たちでできる対策はしておくことが重要です。
特に前兆とみられる3ケースのうち「一部割れ」「ゆっくりすべり」のケースでは具体的な呼びかけはなく「日頃の備えの再確認」を呼びかけています。
防災用品や非常食の備えなどを今一度見直して個人単位で南海トラフに備えておきましょう。